小さなこどもとの生活の中で、手こずることはいろいろあるけれど。
我が家では「こどもの寝かしつけ」が一番、苦痛でした。
特に初めてのこどもだった息子は、新生児のころから寝ない、寝ない、寝ない・・・。
絵本を読んだり、トントンしたり。
抱っこしたりスクワットしたり、謎の自作子守歌を歌ったり(笑)
いわゆる「入眠の儀式」は、いろいろありますよね。
寝付かせに苦労している方にとっては、どんな小さな情報も欲しいもの。
わたしもそうだったから。
いや、ほんといっぱい検索しまくったよ・・・。
今日の記事は、その頃を思い出して書いていこうと思います。
この記事がちょっとしたヒントになりますように。
寝ない時間=イライラする時間
新生児のころは、抱っこして眠ったら布団におろしていました。
抱っこしても寝ないこともしばしばで、授乳後にずっと抱っこで徘徊、いつの間にか次の授乳時間が来ている、といった状態も多かったです。
そんな辛い夜を今、まさに進行形で過ごしている方もいらっしゃるでしょう。
ほんと、保護者って尊い・・・。
過ぎてしまえば、それもまた笑い話とよく言われますが、渦中にある人間にとっては全然笑えないですよね、フラフラですよね。
ほんと、保護者って尊い・・・(2度目)。
なんとかかんとか、そんな赤ちゃん時代を終え、抱っこではなく一緒に横になり、眠りに落ちるのを待つようになったのが1歳半を過ぎたころです。
抱っこからの解放!
肩こりと腰痛からの解放!
でも、寝付かせの時間は1時間くらいかかるようになりました。
優しく「寝ようよ」と言っても、ワーキャー。
ちょっと強く「寝なさい」と言っても、ゲラゲラ。
かなり激しく「寝ろ」と言っても、テケテケテケ~(歩き回る)。
21時に部屋を暗くしてから、なんと23時まで寝ないなんてことも。
こちとら、こどもが寝たあとにやるべきことはいっぱい。
寝てくれー。
本当にもう、イライラMAX、つむじから湯気が出そうです。
親がイライラするほど、こどもはさらに寝なくなってしまうよ、と育児書には書いてあるけれど、無理。
怒鳴らないまでも、イラッとしたため息はダダ漏れです。
とりあえず、一度諦める
ふと、考えました。
なんでイライラするんだろう?
昼間、こんなに楽しそうにこどもが笑っていたら、わりと幸せな気分になるんじゃないだろうか?
夜だと、どうしてこんなにイライラするの?
考えているち、「寝てほしい」と思うからイライラするんだと思い当たりました。
そっか。
寝てほしいけど、寝ないという幾度とない挫折感が、わたしをイライラさせるんだ。
そう気づいたわたしは、ある日「寝てほしい」と思うこと自体をやめてみようと思いました。
だって、どうせ「寝てほしい」と思っても寝ないんです。
だったら、初めから「寝なくていい」と思っていたほうが楽ですよね。
もう、やーめた。
寝ろ寝ろ星人、やーめた!
寝ないで、話でもしよう。
それで興奮しちゃう?
いやいや、どうせ静かにしてたって興奮してるし。
文章に書くと、やけくそみたいですね。
・・・今思うと、やけくそだったかもしれませんね、確かに(笑)
その日から、電気を消した部屋の中、息子とのおしゃべりが始まりました。
たしか高校の理科の先生が、暗い所で目をつむるだけで目は休まるって言ってたので、体に悪いことだけじゃない。
なんて、まじめに考えていた気がします。
もちろんそれまでも、食事中や保育園の行き帰りなどに、息子とおしゃべりをしていました。
でも、一日の終わりに話をする時間は、どんなおしゃべりよりも心地よく、ゆったりとした時間に変わっていきました。
息子がその日一番楽しかったこと。
わたしがその日一番笑ったこと。
ひとしきり話をしたあと、
「はー、楽しかった!じゃあそろそろ寝ようか」と声をかけます。
すると、不思議と息子は「うん」とうなずいて、ぐずることなく静かになり、気づくと眠りに落ちていきました。
おしゃべり時間は、だいたい30分~1時間。
ん?
寝ろ寝ろ星人だったころより、息子が寝るまでの時間が短くなっている?
ポイントは「もう寝ようか」ではなく、「はー、楽しかった!」の部分。
それまでの嫌そうな表情ではなく、息子が楽しい気持ちで満たされたまま眠るのが分かりました。
わたし自身リラックスしていたことも、よい影響を与えているのだと思います。
その後、いつの間にか息子の寝かしつけに、まったく苦労しなくなっていました。
空を飛ぼう
息子が3歳になったころ、暗い部屋でなんとなく「今日は空を飛ぼう!」と言ってみました。
「ほら、お家ごと、空を飛ぶよ!
さん、にい、いち、ごごごごご~」
意味が分からずにきょとんとしている息子を抱きしめたまま、ゴロンと布団の上で回転します。
どーん、だの、ガガガッだのという擬音たっぷりに、身体を揺らしてあげると、息子が楽しそうに笑いました。
「月にとうちゃくーー!
うさぎさん発見しました!」
勝手にママが言っていると、だんだん息子もついてきます。
「あっ、みてー。うさぎさんがメロンパンやいてる」
え?
メロンパン?
思っても口には出さずにいるわたし、えらい。
「ほんとだ、2つ下さい~」
「2つじゃないよ、パパのぶんも3つだよ」
「あそっか、じゃあメロンパン3つ下さいな~」
その後、半年以上の長い間、ちょっとずつディテールを変えて【お家ごと空を飛ぶシリーズ】は続きました。
最初こそわたしが「月」と決めましたが、行く場所は、息子が決めます。
とにかくあらゆる場所が出てきます。
月や星、消防署、トミカ博、カブトムシのすむ森、アメリカ(DA PUMPの歌の影響)、出初式などなど。
こんなに行ってたら、朝になってしまう。
その日に行ける場所は3ヶ所というルールを作りました。
息子は本気で悩んで、毎晩楽しそうに3ヶ所決定。
この悩み時間中に眠ってしまうことも、実はありました。
そのくらい、集中しているんでしょうね。
最後の場所で遊んだら、あの「魔法の言葉」です。
「今日もすごく楽しかったね!
おうちの場所に帰って、そろそろ寝よう」
ゴゴゴゴゴ、とおうちが地面に到着すると、息子は満足そうに目を閉じて、やがて静かに寝息をたてます。
なんと、寝付かせ時間は1時間以内になりました。
海にもぐろう
このフレーズに移行するのも、自然でした。
「さあ、今夜は深海にいこうか」
空を飛ぶのと同じく、お家ごと。
息子を抱きかかえてブクブクブクッと海の中へ。
設定変更もなんのその。
こどもは柔軟です。
「くらーい、しんかいとうちゃくー。
みてみて、ホオジロサメさん。きけんー!!」
なかなかストーリーテラーじゃないですか?
将来が楽しみだ!(親ばか)
うみがめ、いわし、マダコ、ちょうちんあんこう、ダイオウイカ、ダイオウグソクムシ、まぐろ・・・次々と見つけては、わたしに教えてくれます。
「みてみて、カクレクマノミノミかくれてるー」
たくさん、海の生き物を覚えたんだね。
ダイオウグソクムシなんて、どこで知ったんだろう?
カクレクマノミは、ノミが一つ多いけどね。
なりきりヒトデさん
そんなわたしたちの最近のフレーズは「ヒトデさんになって」。
ふと、「大の字になって寝ると気持ちいいよ」と言ったのがきっかけでした。
「え?ダイノジって?」
息子がきょとんとします。
たしかに、4歳児は「大」という漢字を知らないので、説明のしようがありません。
あ、トイレの「大」のボタン!
一瞬言いかけてやめました。
だって、そんなこと言ったら、息子の頭は「大のほう」でいっぱいになる。
明日から「大のほう」シリーズになってしまう!
ちょっと考えてから、ピンとひらめいて言いました。
「ヒトデの形は分かるね?
あんなふうに、両手と両足をのびのびするとラクチンなんだよ」
「ひとでさんかー」
よいしょと両手をひろげ、息子はおもむろに言いました。
「ジンベエザメさんがきたー。ヒトデさんになって、せなかにペッターン!」
「ぺったーん」と言いつつ、のびのび身体を伸ばします。
理想的な大の字です。
「ママ、おちないようにくっついた? しんかいまでもぐるよー!」
すっかり息子が道先案内人。
わたしはついていくだけです。
それにしても、大きなジンベエザメの背中にくっつく小さなヒトデ。
なんていい気分な旅でしょう!
「気持ちいいねえ~」
「きもちいいねえ」
ふたりで思わず、笑ってしまいました。
もちろん、こんな癒しの旅ばかりではありません。
海の中でなぜかカブトムシに出会ったり、タコに大量の墨をかけられたり・・・ものすごい展開が待っていることもありますが。
むすび
寝付かせ。
それは本当に先の見えない暗いトンネルのようで、孤独な時間でした。
でも、孤独じゃなくなったら、なんだかキラキラした宝物みたいな時間になりました。
もし一緒に寝落ちしようものなら、前だったら「あれもこれも出来なかった、きーっ」ってなってたものが、なんか「まいっか」って思えるほどの、楽しい時間。
頑張るひとほど、イライラする。
頑張っているひとほど、イライラした自分を自己嫌悪してしまう。
一日の終わりは、頑張らないという選択。
いい意味で、諦めてリラックスしたら、こどもが寝ちゃったなんて嬉しすぎる法則です。
もちろん、性格は千差万別。
この方法ではよけいに興奮して、眠れないこどももいますよね。
そんなときは、その子の性格に合った、いやむしろ自分自身に合った「頑張らない眠り方」を、探してみて下さい。
それぞれのお家で、今夜も満ち足りた素敵な旅ができますように。
最後までお読みいただき、ありがとうござました。
この記事が、何かのお役に立てば幸いです。
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